エンジニアがデザインと向き合うために思考する
前置き
良いデザインに出会ったことはありますか?デザインと括られるものを通して、感情を動かされたことはありますか?世の中には多くのデザインされた物で満ちていて、人の感情を引き起こしてくれる素敵なプロダクトがあります。
漠然と疑問に思っていたことがあって、人はデザインの良さを何を見て判断をしているのだろう?作り手は何を思い描いているのだろう?僕は感覚的な部分、表面的な部分でしかデザインを感じることができてないんじゃないか?
僕はデザインの内側にあるものを知ることで、エンジニアとして、サービスを作る人として、デザインへの理解、価値の判断基準を自分の中に持ちたい。と考えるようになりました。
そんなデザインを深く考えたことのなかった僕が、デザインの何に興味持ち、何を理解し、どんな風に考えるようになったかを整理していきたいと思います。
そもそもデザインって?どんな風に成り立ってきたもの?
物・事の成り立ちを知りたくなる性分なためか、多少遠回りな出発点です。とは言え分厚い参考書は頭に入りにくかったので、全体の流れを知れるものとしてこの本を手に取りました。
権力・荘厳さといった絶対的な存在を誇示するための表現方法から始まり、知性や緻密さといった豊かさを示すような表現方法が必要とされてくる。工業発展による大量生産の時代が訪れると、デザインを必要とする人が特権階級だけでなく民衆全体となり、必要とされる表現方法はより機能美や合理主義に傾いていく。
このようなデザイン史の変遷を知って思うのは、デザインには時代背景が色濃く反映されているのだなと言うことです。何を表したいものか、誰が最も必要としているものかによって、デザイン形態が出来上がるのだと解釈しました。
デザインとは何を表現するものなのか?
デザインは対象に自己同一性を与えるものである。
デザインは対象が人に与える感覚を科学的に拡張させるものである。
現段階の僕が考える、デザインはなにを表現するものだろうか?はこの2つに集約されています。
デザインは対象に自己同一性を与える。とは?
僕がデザインの与える自己同一性をどの様に捉えるかにあたって、職場で紹介してもらって参考になった記事があります。
この記事自体はデザインそのものについてではなく、オリンピックのビジュアルデザインとして求められているものはなんであるか?について書かれているものとして読みました。その上で僕はこの記事内容からデザインは対象を、何時、どこで、部分として捉えても、全体として捉えても、等しく対象であると認識させるようにできる。自己同一性を表現するものでもあると解釈しました。
デザインの局所的な部分や表層の部分ばかり見ていた側からすると、こんなにも緻密に考えをまとめ、人の感覚を導いているのかと気付かされ、部分と全体が一体となるための細かなシステム設計、秩序をあたえること。デザインとは単に装飾を施したりビジュアルのことだけを指すものではない。感覚値ではない、論理からなるデザインの一端を知れたように思います。
デザインは対象が人に与える感覚を科学的に拡張させる。とは?
デザインとは本来、テクノロジーを人間的なものにする営みであり、人間の精神に訴える力を持っている
デザインイノベーション デザイン戦略の次の一手より引用
人が生きて環境をなす、そこに蓄積された叡智がデザインです。デザインは人間にとって本質的な何かを覚醒させるための営みなのだということに、ぴしっと焦点を合わせて考えるか考えないかで、デザインのとらえ方はまったく違ってきます。
なぜデザインなのか。より引用
デザインの内側にあるものを知ろうと思い立ってから、本読む、ブログ見る、プロダクトデザイナーと話すと言ったことをしてきた中で、上記の引用した2つ言葉がとても理解の助けになりました。
引用した言葉を自分の中で整理すると、デザインは視覚だけではない人の感覚に訴えかけるものであること。人の感覚を分析し、理解し、より豊かな感覚へと昇華させる行為に近いのだと解釈しました。
デザインは論理なのか?
学んでいくにつれて、デザインは論理で説明できてしまうのか?という問いが僕の中で湧き上がりました。
似た問を持った人の起こした議論。とても興味深いやりとりで、僕の欲しかった解にも出会えました。
論理は根底に存在しても、感覚や感情があって初めて決定できる。善し悪しを判断するのは制作者の経験や感覚です。
デザインは全て論理ではないですか?(½) - クリエイティブ | 【OKWAVE】より引用
デザインを考える上で論理は不可欠である、感覚値も同じように不可欠であるのだと解釈しました。
判断基準をもてたか
今まで対象と抽象的呼んでいたものをサービスの事業価値として捉え直してまとめます。デザインが事業価値に自己同一性と、感覚の拡張を与えられているか?と言う判断基準を持ってみたいと思えました。 さらにその上で論理で説明しきれない部分、最適解が絞り込みきれない場合には感覚値を拠り所にする。
これでしばらくデザインを捉えていこう。という所まできたので一旦区切りです。
最後に
デザインの内側にあるものを知ろうとすることで、自分なりの良さを判断する為の土台が作れてきました。デザインの世界の考え方は、単純に興味深くてとても面白いテーマです。エンジニアリングに近い部分もあり、共感しやすかったのが興味を継続できた要因なのかな?と感じます。
この先はWEBのデザインとして、どう思想を成立させるのか?と言う具体的な方法論のところにも理解を深めていけたらと考えています。
おしまい。