だから僕はあなたと働きたい
最近エンジニアチーム向けにキャッチコピーを作りました。
- 経営層と採用・人事・組織に対する振り返り
- エンジニア間の期待値を理解するワークショップ
- 過去の所属エンジニアへ在籍時の会社に対する心象ヒアリング
- 自分のありたい姿を再考
これらを通して見えてきた、現在の状況下における架空のロールモデルを表現する言葉ともいえます。
今の組織における抽象的な価値として、エンジニアの何を見ていくのかを提示するのが趣旨です。
今回はそれに自分の込めた想いを加えながら、まとめていきます。
前提条件
10人規模の組織、エンジニア業務を担っているメンバーは3~4人。
12:00~17:00がコアタイム、週2回リモート勤務OK、週1回全社会議あり。
一般的な勤務体系よりも比較的自由度が高く、ある程度多様な働き方を許容している組織です。
同じ時間帯に同じメンバーが顔を合わせて働くことは、全社会議がある日以外では基本的にないのが日常です。
この少数かつ多様な労働環境を支える、という視点がある程度加味されています。
この前提条件のもと、3つのことを言葉にしました。
3つのキャッチコピー
- 技術で違和感をなくす
- 技術を言葉にできる
- 技術と人に向き合う
1. 技術で違和感をなくす
何をするか
- 技術で既知の課題を解決する
- 技術で未知の課題を捉える
- 技術で課題解決の選択肢を増やす
継続するために
個人の専門性による思考、解決のアプローチを信じる
込めた想い
個人の専門性に自信を持つことは、自発的な行動の支えとなると考えています。
ここでいう自発的な行動とは、個人の考えを発言をすること。
人は自信がない状態では意欲的に発言せず、自信がある状態では意欲的になりやすい。
ある組織の中で、発言をした体験を積み重ねることが、組織内での発言行為そのものの心理的障壁を低くすることに繋がっていく。
個人が発言を継続的に行うことを通して、フィードバックの連鎖をチームに与え、全体としての課題解決の質を高めていく。
個人の自信がいかに課題解決へ繋がるかのイメージから、エンジニアとして自分の専門性を信じれることに、組織におけるエンジニアの価値の1つを見ています
2. 技術を言葉にできる
何をするか
- 文章だけでもコミュニケーションを成り立たせる
- 専門性を正確に文章にする
- 専門性を魅力的に表現する
継続するために
個人の影響力や共感力を過信せず、専門性の適切な表現方法を模索する
込めた想い
個人の専門性を文章で正確に、魅力的に伝えることが、多様な労働環境を維持することの支えとなると考えています。
ここでいう多様な労働環境とは、時間や場所の拘束をしない働きかたをすること。
時間や場所を固定せずに働く環境では、メンバーとの文字によるコミュニケーションが主となる場面が比較的多い。
視覚や聴覚から得られる情報量が低下する中で、質を落とさないための技術が必要となる。
良い文章の書ける人というのは、裏を返すと文章の読む力がある人でもあって、文章力を高めることが他者の想いを理解することに繋がっていく。
個人が文章表現の試行錯誤することを通して、チーム理解の深度を維持し、全体としての協働の質を高めていく。
多様な労働環境において、個人の文章力がいかに相互理解へ繋がるかのイメージから、エンジニアとして専門性の文章表現を模索することに、組織におけるエンジニアの価値の1つを見ています
3. 技術と人に向き合う
何をするか
- 技術を楽しむ
- 人に興味をもつ
継続するために
メンバーの専門性や思考性、成果に興味を持つ
込めた想い
個人とメンバーとの接点を増やし、個人間のフィードバックの量や質を増やすことが、成長実感を得ることの支えとなると考えています。
個人の限界値を拡大していくためには、いかにして良いフィードバックを獲得し、専門性向上のための行動を自分が継続できるかを考えていくことになる。
メンバーとの接点を増やす中で、メンバーが何に興味を持ち、いかに考え、どんな成果を残してきたかの理解を深めると、やがてそれが緩く期待値となって現れ、他者は期待に応え続ける事自体が、専門性を高める動機の一つとなる。
メンバーとの接点を増やすことを通して、緩く期待値の表面化を行い、自学への動機付けに寄与することで、全体としての成長実感を高めていく。
個人としてメンバーとの接点を増やすことが、いかに成長実感に繋がるかのイメージから、メンバーに興味を持ち、一定の刺激的な関係性を作れることに、組織におけるエンジニアの価値の1つを見ています
まとめ
専門性を磨き、磨いてきたものを信じて、それを魅力的に伝え、メンバーを巻き込んで、成果と成長を作っていく。
と言った一文に、まとめ直せるのかもしれません。
多様な働き方を維持するために、技術力だけではなく、文章力を持っていることを望む。
この部分が、今回の言葉にした中でも独特だなと感じています。リモート勤務が日常になければ、恐らく浮かび上がらなかった視点です。
独特な部分があることは、今の組織における価値観が良く表現された結果なのだろうと思います。
また、マネージャーとしてはこういった抽象的な概念を掲げた場合には、自分が実行していくこと、メンバーをいかに精神的に1人にさせないか、その2つを忘れずにありたいと考えます。
エンジニアの専門性に対する普遍的な評価とはまた少し違った、特定の組織内における価値観からくる評価を言葉にすることで、だから僕はあなたと働きたいを伝えられるポイントを増やしていきたいです。
タイトル回収をしたところで、今回はおしまい。